即効性のある便秘薬・
下剤ってあるの!?
自分に合ったものを選ぶ
便秘薬は大きく、「便」に働きかける非刺激性便秘薬と、「腸」に働きかける刺激性便秘薬に分けられます。
非刺激性便秘薬は、主に酸化マグネシウムを有効成分とし、便をやわらかくしたり、かさ増しをしたりする作用があります。便秘が気になりだした時・便が硬く排便しにくい場合に使用します。
対して刺激性便秘薬は、センナやビサコジルを有効成分とし、大腸に刺激を与えることで排便を促すものです。一般に、非刺激性便秘薬で効果が得られないという場合に使用されます。
薬剤性便秘に注意!
刺激性便秘薬を毎日のように使用すると、腸が疲弊し、逆に便秘になってしまうということがあります。これを「薬剤性便秘」と言います。薬剤性便秘というものを知らずに刺激性便秘薬を使用し続けると、「なんだか効かないなあ」と量を増やしてしまい、さらに薬剤性便秘が強くなるという悪循環に陥ることがあります。
また非刺激性便秘についても、あくまで対症療法の薬であるため、根本的な解決にはなりません。毎日使用したり、長期にわたって使用すると、副作用のリスクも高くなります。
病気の早期発見と早期治療、そして原因を特定して早期に根本的な解決を図るためにも、市販の便秘薬に頼り過ぎず、お早めに当院にご相談ください。
3日以上便がでないのは
便秘?
1つの基準として、3日以上便が出ない場合を便秘と捉え、医療機関を受診する目安とお考えください。また、2日1回、1日1回排便できている場合も、腹痛・便が硬い・お腹が張っているといった何らかの症状がある場合には、同様に受診をおすすめします。
便秘と宿便の違い
とは
宿便とは、腸の働きが正常であるにもかかわらず、排便しきれず、腸内に便が残っている状態を指します。通常、便が出にくい・便が硬い・お腹が張るといった不快感を伴いません。
対して便秘では、腸の働きが低下することで、腸内に便が残っている状態です。先述した不快感を伴います。
便秘の症状
以下のような場合には、便秘や排便の異常と考え、お早めに当院にご相談ください。
- 3日以上排便がない
- 排便が苦しい
- いきまないと出ない
- 便が硬い
- お腹の張りや腹痛が続く
- 便が少ししか出ない
- 排便はあるがコロコロとしている
- 排便に5分以上かかる
- 残便感がある
- 便秘薬を手放せない
便秘の主な原因
便秘は大きく、機能性便秘と器質性便秘に分けられ、原因が異なります。
機能性便秘
生活習慣の乱れなどを原因として起こる便秘です。生活習慣を改善することで、便秘の軽快が期待できます。
もちろん、医療機関で治療を受けられます。
直腸性便秘
通常、便が直腸に到達すると、便意が生じ排便が起こります。
直腸性便秘では、加齢や排便を我慢する習慣などによって、便秘が生じない・生じにくいことで起こる便秘です。
痙攣性便秘
不規則な生活リズム、ストレス、睡眠不足などによって自律神経のバランスが乱れ、腸管が緊張するために起こる便秘です。
弛緩性便秘
水分や食物繊維の摂取不足、筋力低下・運動不足、極端なダイエットなどを原因として、腸の蠕動運動が低下するために起こる便秘です。
器質性便秘
病気など器質的な異常によって起こるものであり、その病気に対する治療が必要となる便秘です。
具体的には、大腸がん、腸閉塞、腸管の癒着、痔などが挙げられます。これらの病気が治らない限り、便秘も改善も期待できません。
便秘放置すると怖い…
便秘をともなう病気
便秘を伴う病気には、痔や大腸の疾患があります。
痔
切れ痔、いぼ痔はしばしば便秘を伴います。また便秘を放置したために切れ痔・いぼ痔を発症することもあります。
痛み、出血など他の症状も見られます。痔が慢性化することでさらに便秘が悪化するという可能性がありますので、きちんと治療を受けましょう。
大腸の疾患
便秘を伴う大腸の疾患には、大腸がん、大腸ポリープ、腸閉塞などが挙げられます。
また便秘を放置していると、大腸の潰瘍や穿孔、虚血性大腸炎、腹膜炎などを合併するリスクが高くなります。
便秘の検査・診断
また大腸の病気が疑われる場合には、大腸カメラ検査が有効です。当院では、鎮静剤を用いた苦痛・恐怖心のほとんどない大腸カメラ検査を行っています。専門医が丁寧に検査を行いますので、ご安心ください。
便秘について男性医師に相談するのが恥ずかしいという女性患者様も、院長である女性医師が診療を行いますので、ご不安なくご相談いただけます。
※男性医師を指定することも可能です。
便秘の治療薬・便秘薬
病気を原因とする器質性便秘の場合、その病気に応じた治療を行います。
便秘に対しては、一般的に以下のような治療を行います。
薬物療法(便秘薬)
浸透圧性下剤
浸透圧勾配を利用し、腸内で水分分泌を引き起こすことで便を軟化させ、排便回数を増加させます。
塩類下剤(酸化マグネシウムなど)・糖類下剤(ラクツロースなど)・浸潤性下剤(ジオクチルソジウムスルホサクシネート)・高分子化合物(PEGなど)に分類されます。
刺激性下剤
大腸の筋層間神経叢に作用して、蠕動運動を促進し・腸管からの水分吸収を抑制し、瀉下作用を促します。電解質異常や、腹痛を起こす可能性があります。また、長期連用は体耐性や習慣性が生じる可能性があるため、慎重に使用すべき薬剤です。
アントラキノロン系(センナ・センノシド・大黄など)・ジフェニール系(ビサコジル・ピコスルファートナトリウムなど)に分類されます。アントラキノロン系は長期連用にて大腸黒皮症を引き起こす可能性があります。
粘膜上皮機能変容薬
数年前より登場した慢性便秘症・過敏性腸症候群に対する薬です。ルビプロストン(アミティーザ)・リナクロチド(リンゼス)などが分類されます。
ルビブロストンは小腸粘膜上皮のクロライドチャネルを活性化し、消化管管腔にクロライドイオンを分泌させることによって水分の分泌を促進し、緩下作用を示します。
リナクロチドは小腸粘膜上皮のグアニル酸シクラーゼC受容体を刺激し、腸管分泌促進作用、腸管輸送能促進作用、および大腸痛覚過敏改善作用を有します。腹痛、腹部不快感などの腹部症状の軽減にも効果が期待できます。
胆汁酸トランスポーター阻害薬
エロビキシバット(グーフィス)が分類されます。
胆汁酸の再吸収を阻害し、胆汁酸の量を増やして大腸の水分を増やすとともに、腸管蠕動運動を促進します。
プロバイオティクス
腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。
生活習慣・排便習慣の
改善
生活習慣や排便習慣を変えるだけで、便秘が治ることがあります。
水分・食物繊維を多く摂る
水分や食物繊維を意識的に多く摂りましょう。
水分は、水やお茶がおすすめです。食物繊維は、野菜や果物、穀物、豆類などに多く含まれます。
良質な油を摂る
オリーブオイル、アマニ油などの良質な油は、腸内での便通の滑りを良くしてくれます。
普段使っている油の代わりに使ってみましょう。
自律神経のバランスを整える
規則正しい生活、十分な睡眠、ストレス解消により、自律神経のバランスを整えることで、腸を含めた消化器の働きの正常化を図ります。
適度な運動をする
ウォーキング、軽いジョギング、ヨガ、ストレッチなどの運動は、腸に適度な刺激を与え、動きを活発にします。
排便習慣の改善
便意がなくても毎日決まった時間に便座に座る、便意を感じたら我慢せずできるだけ早くトイレに行くといった排便習慣の改善によって、適切に便意が発生するよう促します。