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肝臓内科

肝臓の数値が高い・異常な
原因は?肝臓内科とは

肝臓の数値が高い・異常な原因は?肝臓内科とは肝臓内科では、血液検査によって肝臓の数値を調べたり、肝臓疾患の診断や治療を行います。主な疾患としては、急性肝炎、B型肝炎・C型肝炎、脂肪肝、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝炎、アルコール性肝障害、自己免疫性肝疾患などがあります。
肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれる通り、疾患を発症しても症状が出にくいという特徴があります。それゆえに、健康診断などの定期的な検査が病気の発見につながることは少なくありません。逆に言うと、何年の健康診断や検査を受けずに過ごしていると、気づかないまま病気が進行してしまう可能性があります。実際に、軽い症状が気になって久しぶりに検査を受けたら、肝硬変や肝臓がんの末期であったというケースもあります。
健康診断や人間ドックで肝機能の数値に異常があった時には、たとえ無症状であっても必ず、一度当院の肝臓内科にご相談ください。

お酒を飲む方は、
健康診断・人間ドック
の血液検査の結果を
ご確認ください

定期的にお酒を飲む方に特に注目していただきたいのが、血液検査内の「γ-GTP(γ―GT)」という数値です。
基準値は男性で79以下、女性で48以下となっています。この基準を外れる場合には、念のため当院にご相談いただくことをおすすめします。
ご自身で「お酒を控えよう」と気をつけて実行することも大切ですが、そういった生活習慣の改善によって数値も改善しているかどうかを客観的に、定期的に調べることが、肝臓疾患の予防と早期発見につながります。

肝臓の働き

栄養の貯留・代謝

私たちは、食物を摂取してエネルギーや栄養を得ています。食物を胃腸で消化した後、血液中に栄養を取り込みます。そしてその血液中の栄養の大半は、いつでも簡単に使えるよう、肝臓に貯留されます。
また、肝臓に貯留された栄養は、必要時に代謝することで、エネルギーとなります。
この栄養の貯留とエネルギーへの代謝が、肝臓の第一の働きとなります。

解毒

普段意識はしませんが、私たちが口にする食物にも毒素が含まれています。この毒素を分解するのも、肝臓の働きの1つです。
毒素は、肝臓で分解された後、老廃物として尿に混じって、排出されます。

胆汁の産生・分泌

肝臓では、胆汁の産生と分泌が行われています。胆汁はビリルビンという色素やコレステロール、胆汁酸などで構成されており、タンパク質を分解したり、脂肪を乳化する作用を持っています。
肝臓が適切に胆汁の産生と分泌をすることで、食物の吸収や消化も適切になされます。

当院の肝臓内科で
診療する症状

  • 何となく身体がだるい状態が続く
  • 急に体重が増えた
  • 皮膚や白目が黄色っぽくなった(黄疸)
  • 顔色が良くない
  • 食べ過ぎなどの食生活の乱れがある
  • お酒をよく飲む
  • 血液検査で肝機能の異常を指摘された

繰り返しとなりますが、肝臓疾患は自覚症状が乏しいため、少しでもおかしいなと感じた時には必ず受診をしてください。また健康診断や人間ドックなどでの血液検査で肝機能の異常を指摘された場合には、必ずその指示(要観察・要検査・要精密検査・要治療など)に従ってください。

当院の肝臓内科で
診療する病気

急性肝炎

ウイルスの感染、自己免疫異常、薬の副作用などによって発症する肝臓の急性炎症です。
症状としては、突然の発熱、喉の痛み、頭痛、食欲不振、吐き気などが挙げられます。
多くは自然な軽快が期待できますが、重症化して急性肝不全(劇症肝炎)に至ることがあります。

B型肝炎

血液・体液を介してB型肝炎ウイルスに感染することを原因とします。以前は多くの原因を母子感染が占めていましたが、現在はワクチンの普及や免疫グロブリンの投与などによって母子感染による発症が減少しており、相対的に性交渉を原因とする割合が増えています。
症状としては、全身倦怠感、疲労感、食欲不振などが挙げられますが、これら症状に気づいて発見に至るケースは稀です。
治療では抗ウイルス薬を使用します。重症例では、透析、肝移植が必要になることもあります。また慢性化し、肝硬変・肝がんへと進行することがあります。

C型肝炎

血液・体液を介してC型肝炎ウイルスに感染することを原因とします。安全性に欠けた注射、医療器具の殺菌処理の不足などが主な感染経路と言われています。
自覚症状がないまま進行し、慢性化して肝硬変・肝がんを引き起こすことがあります。
治療では抗ウイルス薬を使用しますが、ウイルスを排除してからも肝がんを発症する可能性があるため、治療後も定期的な検査は欠かせません。

肝硬変

肝臓での炎症が慢性化し、肝臓が線維化した状態です。先に挙げたB型肝炎、C型肝炎、脂肪肝、自己免疫疾患などが原因となります。長期の多量飲酒が背景にあることも少なくありません。
進行してようやく、黄疸、腹水、出血などの症状が現れます。肝がん、肝不全へと進行することがあります。

脂肪肝

肥満、運動不足、暴飲暴食などを原因として、肝臓に脂肪が異常に蓄積してしまった状態です。糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病が背景にあることが多くなります。
放置していると、肝臓に慢性的な炎症を引き起こし、肝硬変・肝がんへと進行することがあります。

非アルコール性脂肪性肝炎

アルコールを飲まないのに脂肪肝のある人に発症する肝炎を指します。食べ過ぎ、運動不足などを原因として発症しますが、糖尿病・高血圧症・脂質異常症に合併することも多くなります。
進行すると、倦怠感、腹部膨満感、右上腹部痛、黄疸などの症状が現れます。

アルコール性肝障害

長年の多量の飲酒によって発症する肝障害の総称です。
ある程度進行すると、疲労感、腹部膨満感、食欲不振などの症状が現れます。治療を行わずに放置していると、肝硬変・肝がんへと進行する可能性があります。

肝がん

肝臓で直接発生する原発性のものと、他臓器のがんが転移したものがあります。
原発性肝がんの原因には、C型肝炎、B型肝炎、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などが挙げられます。原因となる疾患の症状が見られることはありますが、肝がん特有の症状というものはありません。

自己免疫性肝疾患

本来であれば外敵から身体を守ってくれるはずの免疫が、何らかの原因によって肝臓を攻撃してしまう病気です。
障害される組織に応じて、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎に分けられます。放置していると肝硬変・肝不全へと進行する可能性が高くなります。

当院の肝臓内科で診療する検査

肝臓内科では、腹部超音波検査、フィブロスキャン検査、血液検査などを行います。
フィブロスキャン検査は、振動・超音波の伝わり方によって肝臓の方さ、肝臓の脂肪量を測定できる検査です。
現在は病院等で主に行われ、導入しているクリニックは多くありません。患者様にとっても非常にメリットの大きい検査です。

腹部超音波検査(エコー)

超音波診断装置超音波検査とは、プローブから高周波の音波である「超音波」を当て、その反射を読み取ることで、身体の内側の臓器の形や大きさを観察する検査です。
良性腫瘍、がん、ポリープ、結石などの発見に役立ちます。
痛み、被ばくがないことから、妊婦さんやお子様でも、また定期的に繰り返し受ける場合でも安心です。
腹部超音波検査では、主に肝臓、胆のう、すい臓、腎臓、脾臓を観察します。
肝臓においては、肝臓の大きさや形、肝臓の表面、脂肪量、血管、肝臓内の状態を調べることで、肝硬変や脂肪の沈着の程度を評価したり、肝がんのスクリーニングなどを行うことができます。

フィブロスキャン検査

フィブロスキャン検査とは、プローブから超音波と振動を発し、その伝わり方から肝臓の硬さ、肝臓内の脂肪量を測定することのできる新しい検査です。
超音波検査と同様、被ばくはありません。振動も微弱なものであり、繰り返し安心して検査が受けられます。所要時間が約1分と短い点も、この検査の利点です。通常、腹部超音波検査と同時に実施します。

フィブロスキャン検査を必要とするのはどのような人ですか?

非アルコール性脂肪性肝疾患・肝炎(NAFLD・NASH)

お酒をほとんど飲まないのに脂肪肝があり、中には肝硬変まで進展してしまうということがあります。
これを、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と言います。

代謝機能障害関連脂肪肝疾患・肝炎(MASLD・MASH)の
可能性がある方
肥満や2型糖尿病が背景にあり、脂肪肝が合併している状態。その中で、肝硬変にまで進展してしまう代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)といいます。
NASH・MASHの可能性がある方において、肝硬変の進展の程度(肝臓の硬さ)、肝臓の脂肪沈着の程度(脂肪量)を知るためには、これまで入院、痛みを伴う「肝生検」が必要でした。
フィブロスキャン検査の導入によって、外来で、痛みなく肝硬変の程度、脂肪沈着の程度が分かるようになりました。
脂肪肝があって慢性肝炎の可能性がある方

以前までは肝硬変へと進展している方がフィブロスキャン検査の対象でしたが、現在は脂肪肝があり慢性肝炎の可能性がある方まで適応が広がっています。
肝臓が線維化する肝硬変の前に検査が行えるようになったことで、早期に、ご負担少なく、適切な治療をご案内することが可能になりました。

また、血液検査とフィブロスキャン検査を組み合わせることで、より正確な治療効果の評価ができます。
他の肝臓疾患があり肝硬変への進展の可能性がある方

フィブロスキャン検査で肝硬変の程度(肝臓の硬さ)を簡単に調べることができるのは、先に述べた通りです。

フィブロスキャン検査は、原発性胆汁性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎、ウイルス性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)といった他の肝臓疾患があり、肝硬変への進展が疑われる方にも有用です。

フィブロスキャン検査はどのように進められますか?

ベッドに横になり、右側腹部の皮膚にゼリーを塗り、そこにプローブを当てるだけの検査です。
プローブからの振動はありますが、トントンという軽いものであり、痛みは感じられません。

検査は、約1分で終了します。
 

血液検査

血液を採取し、肝機能を含めたさまざまな項目について調べます。

肝臓疾患だけでなく、生活習慣病やがん、腎臓病など、多様な病気の発見につながることのある、基本的でありながら重要な検査です。貧血、炎症などについても調べられます。

検査内容

  • 貧血(Hbなど)
  • 肝機能【AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、ALP、γGTP】
  • 腎機能(BUN、Cre、eGFR )
  • 膵機能(AMY)
  • タンパク質(TP、Alb)
  • 血糖値(BS)
  • HbA1c
  • 尿酸値(UA)
  • コレステロール値【T-chol、HDL(善玉コレステロール)、LDL(悪玉コレステロール)】
  • 中性脂肪(TG)
  • 尿分析
  • 炎症反応(CRP、WBC、白血球分画など)
  • アンモニア(NH3)
  • 線維化マーカー(ヒアルロン酸・Ⅳ型コラーゲン・M2BPGi・P-Ⅲ-P)
  • Fib4-indexなどのスコアリング

肝炎検査

採取した血液をもとに、HBs抗原やHCV抗体を測定し(肝炎ウイルス検査のスクリーニング)、陽性の場合には「HBV-DNA検査」「HCV-RNA検査」を追加します。
以下に該当する方は、そうでない方と比べると、肝炎ウイルスの感染が高くなります。症状の有無に関係なく、一度受診されることをおすすめします。
急性肝炎が疑われる場合、A型肝炎、E型肝炎、EBウイルス感染、サイトメガロウイルス感染の有無も確認することがあります。

  • 家族、パートナーにウイルス性肝炎・肝硬変・肝がんの既往がある方
  • 過去に手術、輸血を受けたことのある方
  • タトゥー、刺青のある方  ピアス穴をあけている方
  • 海外渡航後の肝機能異常を指摘された方

その他の血液検査

抗核抗体

抗核抗体とは、自己の細胞中にある核を構成する成分を抗原とする自己抗体の総称です。
膠原病のスクリーニング検査として利用されます。
肝臓において、特に自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎・肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)などで高値となることがあります。

抗ミトコンドリア抗体・M2抗体

抗ミトコンドリア抗体はミトコンドリアない抗原に反応する自己抗体です。
特にM2抗体は原発性胆汁性胆管炎患者さんの96%以上で陽性となる特異的な検査です。

  • 慢性的に肝機能障害を認める方
  • からだのかゆみが強い方
  • ご家族に原因不明の肝硬変の既往がある方

健康診断の肝機能検査で
わかることは?

健康診断の血液検査では、肝機能検査として以下のような項目について調べます。
いずれかの数値の異常を指摘されたり、前回の検査よりも数値が悪くなっている場合には、一度当院にご相談ください。

AST・ALT

ASTは赤血球・筋肉など肝臓以外に存在するアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを、ALTは大部分が肝臓に存在するトランスアミラーゼを指します。
炎症が起こると、これらの数値が高くなります。両方またはALTのみ高くなる場合には肝臓で何らかのトラブルが発生している、ASTだけ高くなる場合はそれ以外の原因(溶結性貧血・心筋梗塞・筋肉のトラブル)を疑う、といった予測がたちます。また慢性肝炎・肝硬変・肝がんではALTが多い、急性肝炎ではASTが多い、といった推測も可能です。

γ―GTP(γ―GT)

γ-GTP(γ―GT)(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)は、タンパク質を分解するアミノ酸の1つです。特に、アルコールを含む毒素の分解に利用されています。
通常であればγ-GTP(γ―GT)は胆のうで作られ肝臓で働き、その後十二指腸から出ていきます。しかし、胆管・胆のう・肝臓が障害されている場合には、十二指腸に行かず逆流して血液中に入り込みます。
血液検査でγ-GTP(γ―GT)の値が高い場合には、アルコール性の肝臓障害、非アルコール脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、胆管や胆のうのトラブルなどが疑われます。

ALP

ALP(アルカリフォスファターゼ)は、リン酸化合物を分解する酵素の1つです。
腸壁、腎臓にも存在しますが、多くは肝臓に分布します。通常、肝臓で作用した後は胆汁に混じって出ていきますが、胆汁の通り道に結石やがんがあると、逆流して血液中のALPが多くなります。
血液検査でALPの値が高い場合には、肝機能障害、胆のう付近のトラブルなどが疑われます。

総ビリルビン

ビリルビンは色素の1つで、赤血球が分解された際に産生されます。その後肝臓に流れ、胆汁に混ざって体外へと排出されます。
総ビリルビンとは、肝臓から排出される直接ビリルビンと、肝臓に流れる前の間接ビリルビンの総称です。胆管のトラブルによって逆流した場合、肝機能障害によって肝臓の処理能力が低下した場合には、血液中の総ビリルビンの値が高くなります。具体的な疾患としては、肝炎、肝硬変、肝がんなどが考えられます。

肝機能の異常がある方へ 
予防・改善法

肝機能に異常がある場合には、以下のような生活習慣の改善が必要になります。脂肪肝などの疾患の予防にも役立ちます。

必須アミノ酸を含む
良質なタンパク質を摂る

暴飲暴食を避け、栄養バランスの良い食事を摂りましょう。
特に必須アミノ酸は体内では作ることができないため、食事からの摂取が欠かせません。魚や肉、卵、乳製品、大豆製品などの良質なタンパク質を意識的に毎日の食事に取り入れましょう。また良質なタンパク質には、肝臓の修復を促進する効果も期待できます。

ビタミンやミネラル、
食物繊維を摂る

肝機能が低下すると、肝臓のビタミンの貯留量が少なくなります。
海藻、緑黄色野菜、きのこ類など、ビタミン・ミネラルを豊富に含む食品を意識して食事に取り入れましょう。
また食物繊維は、腸から栄養を取り込む時に余計な糖・脂質を吸収させずに排出する作用があります。

1週間のうち最低2日は
休肝日をつくる

毎日お酒を飲んでいると、肝臓のアルコールの処理速度が追い付かずに、余分な脂肪が溜まる原因となります。
週に最低2日は、お酒をまったく飲まない休肝日を作ってください。もちろん、1日あたりのアルコール量を減らすことも大切です。

運動習慣を身につける

適度な運動は、肝臓機能を守ってくれるだけでなく、脂肪の代謝を促進し、肥満の改善にも役立ちます。
強度の高い運動をたまに行うよりも、負荷の軽い有酸素運動を毎日継続する方が有効と言われています。1日30分以上のウォーキングを目安に、継続しやすい種目・負荷の運動を開始しましょう。